12月9日(火)に「スマート農業技術活用研修会~GNSSの効果的な活用に向けた研修会~」を開催しました。
当県では、作業の省力化・軽労化を目的として、自動操舵システムの導入をはじめ、農業分野におけるGNSSの利用が急速に進んでいます。一方で、GNSSにはさまざまな補正方式があり、導入コストや運用方法も多様であることから、機器の選定や効率的な活用について理解が難しいとの声も聞かれます。
そこで、本研修会では、GNSSおよび補正システムの基本的な仕組みをはじめ、精度やコストの違い、導入時の留意点、導入による活用効果などについて幅広く学び、参加者がGNSSを効果的に活用できることを目的として開催しました。

はじめに、北里大学獣医学部グリーン創成科学科リモートセンシング研究室の長坂准教授より、「農業分野におけるGNSS利用の現状と展望」というタイトルで講演をいただき、GNSSの測位方法の種類やGNSSを利用した機器による作業の様子について分かりやすく解説していただきました。作業内容によって必要とされる測位精度が異なり、播種や移植では2~5cm程度の高い精度が求められる一方、肥料散布や農薬散布は0.5~1m程度の精度で十分であるといった具体例も示されました。そのほか、機器の設定方法など、実際に導入した際につまずきやすいポイントについても詳しく説明していただき、参加者が農業経営における具体的な活用イメージを持つことができたのではないかと感じています。

つづいて、石川農林総合事務所担い手支援課の源担当課長より、「JA松任におけるRTK-GNSSの導入事例」についてご紹介いただきました。RTK-GNSSは広範囲での共有利用が可能であることから、個人での導入よりも地域で共同利用するほうが効率的かつ実用的です。県内で先駆けてJAにおける導入を進めた経緯や目的、導入機器についてご説明いただき、組織や地域単位での導入を検討するための参考になったことと思います。また、RTK-GNSSからの距離が遠くなるほど測位精度が低下するため、距離によって安定的に利用できる機器が異なることなどが示されました。



最後に、GNSSを利用した機器を取り扱うメーカー5社から、技術紹介のプレゼンテーションが行われ、自動操舵システムやRTK基準局などについて、最新の機能や特徴が紹介されました。会場内にはメーカーごとに技術展示ブースを設け、参加者が各メーカーの担当者と直接意見交換をし、今後の導入に向けた有益な情報を知るよい機会となっていました。
当日は現地参加者約100名に加え、埼玉県スマート農業普及推進プラットフォームを通じて、県外からもオンラインで約50名、合計約150名の参加があり、多くの農業者がGNSSについて高い関心があることがうかがえました。
ご講演いただいた講師のお二方、GNSSの利用機器を説明・展示いただいたメーカー各社、研修会の開催にあたり広く参加の呼び掛けをいただいた埼玉県スマート農業普及推進プラットフォームをはじめ、関係者の皆さまの多大なるご理解とご協力により有意義な研修会を開催することができました。改めて感謝申し上げます。 今後も、「いしかわスマートアグリプラットフォーム」では、「知る」「繋がる」「試す」「拡がる」をテーマに、様々な取組を実施・発信していきます。


